山村留学の応援団

これは、平成18年11月25日、「第29回芽室町青少年健全育成町民集会」にて
山村協の会長が発表した内容を加筆、再構成したものです。
当日の様子はここをクリック!


上美生地区山村留学推進協議会(以下、山村協と略す)の広江です。
平成17年4月より会長職を拝命し、現在まで試行錯誤しながら会の運営に携わってきました。
上美生地区の山村留学は、平成7年よりはじまり今年で12年目を迎え、この間30人のセンター留学生と14人の親子留学生を受け入れております。(※補足:人数は実数で継続した場合でも1人として数えています。)


○山村留学とは

 皆さんは「山村留学」という制度をご存知でしょうか?山村留学という言葉を聞いたことはあっても、詳しい内容まではわからないという方が多いかもしれませんね。
山村留学は、昭和51年に(財)育てる会によって始められた教育実践活動であり、農山漁村の自然と文化と人情を活用した「次代を担う人づくり事業」です。
現在では北海道のみならず、全国各地で山村留学の取り組みが行われていますが、残念ながら、一般的にはあまり知られておらず、また、過疎地域における零細校対策として認知されていることが多いようです。
 上美生地区においても事のはじまりは、上美生中学校の統合問題からでした。上美生では、平成3年ごろから中学校統合の話がもちあがり、一時は廃校のがけっぷちにまで立たされましたが、当時のPTAや地域の人たちの熱意により廃校から一転、存地、校舎新築へと進んだ訳です。しかし5年先10年先の生徒数の推移をみると決して楽観できる状況ではなく、一人でも多く生徒を確保したいという、いわゆる零細校対策として始まったのです。

 平成12年中央教育審議会が「幼児期からの心の教育の在り方について」の答申の中で、「都市部の子どもたちが親元を離れ、山村など自然環境の豊かな地域で暮らしながら、その地の学校に通学したり、自然体験や勤労体験など様々な体験活動をしたりする『山村留学』は意義あるものと考える。」と言う提言をしています。
価値観やライフスタイルの変化を背景に、農村部がもつ昔ながらの機能や、自然と親しみながらゆとりある生活をすることに評価が高まってきているのではないでしょうか。

 私たち山村協は、山村留学という言葉や制度が正しく認知され、決して特別なことではなく、広く一般に利用されるようになればと思っています。
山村協は、その規約にあるように、「農村社会が都市と交流しながら自然のなかで情操豊かな児童生徒を育てること、および上美生小・中学校の活性化をはかる」ために組織されました。
言わば、山村留学の応援団です。
有児童家庭の父母のみならず、小学校、中学校、地域の方々の協力を得て、より良い山村留学を実現すべく運営しております。


○地域の教育力

 都市部では、地域及び家庭での教育力が低下してきている一方、過疎地域といわれる農山漁村においては、地域における教育力が残されていと言われています。
「地域の教育力」とはなんでしょうか?私は特別なものではないと考えます。
それは昔から普通に行われてきた、道であったら挨拶する。悪い事をしたら隣のオジサンでも怒られる。困った時には隣同士助け合う。など、普段の大人の態度や姿勢なのではないかと思います。
上美生の子どもたちは地域の大人たちに、積極的にあいさつをしますし、大人たちも、地域のコミュニティの中で子どもたちを見守っています。
ひと昔前の「地域全体で子どもを育てる」ことが、上美生では今でも成り立っているのです。


○変わる子どもたち

 子どもは誰でも自分で成長する力を持っています。私たち山村協は、それを助け、伸ばしてあげられるような環境を作りたいと思っています。
子どもたちを取り巻く環境が、子どもたちにとってより良いものになるように。
そしてそれが、地域の活性化に繋がることと確信しています。

 元気な子どもたちの多いコミュニティは、子どもたちの計り知れないエネルギーを分けてもらうことで、おのずと活性化されます。
子どもを通じて、学校と地域の結びつきが深まり、地域の一体感が深まり、よりスムーズな連携が取れるようになると思います。
 山村留学の制度を運営してゆく中で、いろんな変化が見られます。
 子どもが変わり、私たち親も変わり、そして地域が変わるのです。


○留学生にとっての山村留学

 全国各地から上美生にやってくる子どもたち、そしてその家族は、山村留学にいたる動機はさまざまです。
北海道の広大な自然にあこがれてとか、少人数の恵まれた環境で子どもを育てたいとか。やって来る子どもごとに、家族ごとにさまざまな動機があります。
共通するのは、「より楽しく学校生活を送りたい。」あるいは「そういう環境で過ごさせてあげたい。」ということだと思います。

 最初から元気一杯の子もいます。はじめはちょっと元気がないかなと思っていた子も、しばらくすると見違えるようになったりします。来たときよりも、生き生きと元気に学校生活を楽しんでいるようです。どんな子どもでも、周りの環境が合えば、より元気になれるのだと思います。

 センター留学生は、多感な時期に親元を離れて集団生活を送ることで、自分自身と向かい合い、協調性、創造力、自立心、生活能力などの生きる力が育まれるものと思います。
かわいい時期の子どもを送り出すご家族の決断は、決して軽いものではありません。
金銭的な負担、子どもと離れる寂しさ、時には山村留学に対する無理解から心無い言葉を投げかけられる事もあるようです。そんないろいろなハードルを乗り越えてやって来る子どもさんや家族の思いを受け止め、子どもたちが元気に楽しく学校生活を送ることをサポートすること。それが山村協の役割のひとつだと思っています。


○地元にとっての山村留学

 それでは地元の子どもにとっての山村留学とはどうでしょうか。
毎年のように転校生がやってくる、あるいは、見学に来る。
今の上美生小学校、上美生中学校ではそれが普通です。
でも、山村留学が始まる以前の上美生では、保育所から中学卒業までほとんど転入してくる子どもがいませんでした。それは固定しがちな人間関係を作り、いろいろな考え、いろいろな人に触れる機会が少なかったように思います。
しかし留学生が加わることにより、新たな友達関係が作られ、刺激を受け、より豊かな発想が生まれるようになった。互いを理解し合い、思いやる心がはぐくまれ、新しいものを受け入れる心構えが形成された。子どもたちを見ていると強くそう思います。
都会の子どもたちと自分を比較しなが自身の視野を広げ、自分の生活を顧みる機会を持つことができますし、それは、地域を見直し、地域の良さを知る良い機会に繋がるものと考えます。

 地域の住民にとっても、交流による刺激を受けることで、異文化を理解し、自分たちの住む地域の良さを再認識することで、地域に対して自信と誇りを持つことができました。
効果はすぐには形にはなりませんが、長い目で見たときに、有形無形さまざまな面で、地区の活性化に対する山村留学の貢献度は計り知れないものがあると思います。


○山村協の役割

 学校教育はいま、さまざまな問題を抱えています。
都会から来た子どもたちや、その家族と話をしていると、都会の子どもたちを取り巻くさまざまな環境、さまざまな問題を聞くことが出来ました。
いじめ 不登校 学級崩壊等、同じ学齢期の子を持つ親として他人事ではないと感じますし、心の疲れている子どもさんの多い事にも驚かせられます。
そいう話を聞くにつけ、私達の住む上美生が、子どもを育てるにはとても良い環境である事を再認識させられます。

 山村協では、体験学習的な事業として7月にいかだ下り、8月に乗馬体験、9月にホームステイ、11月に町内探険、1月にスキー学習と5つの事業を行っています。
この事業には山村留学生だけではなく、地域の子ども達も参加できるようになっています。これは体験的な学習の場が少ないと言う点では、上美生のような山村地域の子どもたちも例外ではないと考えるからです。
また、今年度からは、次年度以降の留学希望者や、体験だけしてみたいお子さんにも参加をつのっています。実際に今年は、7月のいかだ下りに一家族の方が、1月のスキー教室に二家族の方が参加され、親子で上美生の山村留学を体験されました。

 私たちは、山村留学で上美生にやってくる子どもたちだけでなく、そのご家族にも上美生の自然に触れ「山村留学」を楽しんでもらいたいと願っています。
また、将来的には上美生だけでなく、芽室町内のお子さんでも参加できるようになればと考えています。地元の子どもたちも、芽室の子どもたちも、地域の方々もみんなが元気になるような山村留学にしたいと思っています

 山村留学制度を導入したことによる波及効果として、留学生が一年間、あるいはそれ以上の長期にわたって生活、体験することで、芽室町・上美生のよき理解者となり、従前の出身地へ戻ってからも、上美生の応援団になってくれればと思います。


文責:山村協会長 廣江、募集部長 清水
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※「山村留学」についての問合せ先